2021年4月23日に東京マルイの新製品として次世代電動ガンMP5A5が発表されました。
スタンダード電動ガンのMP5の初期型から既に30年、モーターを交換したり、ホップを搭載としたりと小手先の改良で凌いできた東京マルイですが、さすがに基本設計の古さを否めず、まったくの新設計で次世代MP5を出すようです。
そこで今回は発表された次世代MP5について現時点で分かる情報を元にサバゲーマー視点の考察をお届けします。
次世代MP5の楽しみ方とは?「M-SYSTEM」を生かした戦い方!
東京マルイ次世代MP5の仕様と特徴
東京マルイにとって、MP5というモデルはM4シリーズと共に東京マルイの屋台骨を支えてきたドル箱的な存在です。
そうして長い間に渡って東京マルイを支えてきたMP5ですが、初期モデルから既に30年が経ち、基本設計の古さからくる各部のヤレは如何ともしがたい状況になっています。
それに加えて、ライバルの海外製電動ガンの進化はすさまじく、電子トリガーやFCUといった機能を搭載した新モデルが続々と投入されています。
ここにきて、東京マルイも足元まで迫った海外勢の脅威を無視することも出来なくなったのでしょう。
重い腰を上げて、30年ぶりにMP5を次世代電動ガンとして新規に設計したようです。
そこでまず、この次世代MP5の外装と内部メカの仕様や特徴を見てみましょう
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次世代MP5の外装部について
マルイのスタンダード電動ガンの一番の泣き所はプラ素材のフレームをモナカ合わせにして内部にメカボックスを挟み込むような構造です。
この仕様によってスタンダード電動ガンのMP5は泣きたくなるほど剛性感がないのです。
これはマルイ製MP5ユーザーの間では周知の事実です。
そこで東京マルイは次世代MP5の外装部に大幅なテコ入れを行いました。
その結果、アッパーフレームは亜鉛ダイキャスト素材に、フロントアッシー部はアルミ製素材を精密なCNC加工で仕上げられています。
ローアフレーム、バットプレート、ハンドガード、チャージングハンドル、セレクターなどの各パーツは強化ナイロン樹脂素材を採用しています。
この外装部のテコ入れでマルイ製MP5の最大の泣き所であったマガジンハウジングの分離が解消されるのではないでしょうか。
また、アッパーフレームとバレル周辺のツナギ目のほぼわからない仕上げになっていて、スタンダード電動ガンのMP5よりもリアルさが増しています。
次世代MP5外装部への不安
ここまで次世代MP5の外装部を簡単にご説明しましたが、老兵として気になる点が一つあります。それはアンビセレクターレバーの固定方法です。
今までのマルイ電動M5では、セレクターレバーを軸に対してイモネジで固定していました。
しかし、使っていくうちにこのイモネジが振動で緩んできて気づかぬうちに失くすことがあったのです。
スタンダード電動ガンの振動で緩むくらいですから、疑似リコイルの起きる次世代MP5なら尚更です。
この次世代MP5のセレクターレバーの固定方法がどうなっているのかは、現時点では確認ができません。
次世代MP5のセレクタレバーの固定方法がスタンダードと違う方法であることを願うばかりです。
東京マルイ次世代MP5の内部メカの特徴
では次に次世代MP5の内部メカをサバゲーマー目線で見てみましょう。
今回、東京マルイはMP5を次世代電動ガン化するに当たって大幅な改良をおこなっています。
その最大のものがギアやトリガーの動きを電子デバイスでコントロールする「Mシステム」の導入です。
このMシステムでは7つのマグネットセンサーをICチップに監視させて、バッテリーからFETへの通電・バッテリー消費状態やギアの動作異常などを制御しています。
といっても分かりにくいでしょうから、一つずつご説明しましょう。
1,FET破損による暴発防止
FETとは簡単にいえば「トランジスターの石」のことです。
トランジスターには電流を電気信号の変換する効果があります。
このため、FETを電動ガンに導入すると電流ではなく電気信号のオン/オフで通電させるので、トリガーのスイッチ部の焼き付きが防げるのです。
同時にレスポンスがよくなり、トリガーの切れやサイクル数の向上が図れます。
しかし、このFETが破損すると電気信号が流れっぱなしになり、トリガーを引いていなくても暴発するのです。
東京マルイのMシステムではこのFETをICチップで監視して、万が一FETが破損した時の暴発を防ぐようにしています。
2,スリープ機能
FETはバッテリーの電力を常に消費します。
そのため、電動ガンのバッテリーとコネクターを長時間繋ぎっぱなしにしているとバッテリーの過放電を招くのです。
それを抑えるため、Mシステムでは銃の未使用時には回路の消費電力を低く押さえてバッテリーの過放電をふせいでいます。
3,内部メカの動作監視
Mシステムではメカボックス内のギアの動きをセンサーで監視して、異常時には動作を停止させます。これにより軸受けやギア、ピストンの破損を防ぐようになっています。
4,ブレーキシステム
Mシステムではセクターギアの回転をセンサーで監視していて、モーターの通電時間を制御しており、モーターにブレーキをかけるようになっています。
これにより、セクターギアが常に同じ位置で停止するため、ピストンの後退量やシリンダー内のエア容量が毎回一定に保たれます。
それはつまり、非常に安定した弾道と集弾性を見せてくれるのです。
以上が次世代MP5に導入されたMシステムの安全面でのメリットです。
そしてMシステムには安全面だけでなくギミックを含めたFCU(ファイアー・コントロール・ユニット)という側面もあります。
そこで次は次世代MP5のギミックについてご説明します。
東京マルイ次世代MP5のギミック
ギミックの元の意味は「人目を引くための工夫や仕掛け」のことです。
これがエアガンの場合では、本物のような操作性や動きを再現した仕掛けや工夫ということになるのでしょう。そこで、今回の次世代MP5のギミックを上げると
1,全弾発射で作動が停止するオートストップ
2,リロード時の「HKスラップ」の再現
3,東京マルイの次世代電動ガンで初の3バーストショットの再現
4,作動時のボルトの動きの再現とオープンになるエジェクションポート
5,内部に仕込まれたウエイトによる疑似リコイル
ということになります。
このうち1番目のオートストップと3番目の3バーストショットがMシステム搭載で実現したギミックです。
そしてこのギミックを楽しむ演出が「HKスラップ」と呼ばれるリロード時の操作法です。
東京マルイは今回の次世代MP5の発表で、この「HKスラップ」が実銃同能にできることをかなり強く強調しています。
東京マルイ次世代MP5の「HKスラップ」に拘る人とは?
引用元:https://youtu.be/r2KKJsHiIAQ
サバイバルゲーマーは次のようなタイプに分かれます。
1,実射性能と使いやすさが最優先で実銃のようなリアルさや操作性には拘らない人、使いやすければ架空銃であっても気にしない人
2,使いやすさや実射性能の高さも大事だが、それと同じように実銃のような操作性や雰囲気に拘る人、どんなに性能が良くても架空銃は使わない人
の二通りです。
このことから、今回東京マルイがしきりに押している「HKスラップ」という操作は紛れもなく2番目のタイプの人達、つまり「リアル派」と呼ばれる人達をターゲットにしたギミックでしょう。
東京マルイが次世代MP5の「HKスラップ」に拘る理由
ここからは老兵の独りよがりの考察です。
東京マルイが今回の次世代MP5で「HKスラップ」に拘るのは海外製電動ガンを強く意識sているからではないでしょうか?
海外製電動ガンでは外装にスチールパーツを採用して剛性を高めています。
その高剛性フレームとパーツでは「HKスラップ」など出来て当然の仕様なのです。
そのため、海外製MP5では「HKスラップ」を実銃同様に操作できることをことさら宣伝はしていません。
対して、東京マルイのMP5は華奢な材質で作られたコッキングレバーであったため、実銃と同じような操作をするとコッキングレバーが破損するのです。
そのため、これまでの東京マルイのMP5ユーザーは、「HKスラップ」をしたくてもできなかったのです。
それが今回の次世代MP5で再現可能になったのは、「スチール素材を使わなくてもうちにはHKスラップを再現できる技術があるよ!」というユーザーや競合他社へのアピールなのでしょう。
ただ、ユーザーやサバゲーマー目線から言わせてもらうと
「海外製MP5にやっと追いついたな~」という感じで、「東京マルイの技術力すげぇ~」ということにはならないでしょう。
つまり、これまで時代遅れであった東京マルイのMP5がやっと競合他社と同じエントリーラインに立ったに過ぎないということです。
次世代MP5に期待すること
引用元:https://youtu.be/r2KKJsHiIAQ
今回の次世代MP5の発表で老兵が一番に期待したのはホップ形式の改良です。
スタンダード電動ガンのMP5のホップアップ機構は、チャンバー外に設けられたレバーでホップの掛り具合を調整するというものでした。
しかし、この外部に飛び出たホップ調整レバーは何かに当たると簡単に動くため、意図しないうちにズレていることがあったのです。
また、チャンバー内のホップパッキンをBB弾が通過する時に起きる摩擦で、少しずつホップパッキンが上に押し戻されて、ホップの掛り具合が弱くなるという現象も起きたのです。
そのため、MP5ユーザーは、ゲーム中でも時にMP5のホップ弾道と狙った着弾点が合っているかをチェックする必要がありました。
そこで、今回の次世代MP5のチャンバー形式を見たところ、エジェクションポート内にホップ調整の仕組みが組み込まれているようなので安心しました。
おそらく、次世代M4シリーズと同じロータリー形式であるだろうと推察されます。
このM4もスタンダード電動ガンの時代では知らない間にホップがBB弾で押し上げられて弱くなることは周知の事実でした。
その改良型が現在の次世代M4のロータリータイプのホップ形式です。
これと同じ改良が次世代MP5にも採用されていることを切に願います。
次世代MP5の価格と発売時期は?
引用元:https://youtu.be/r2KKJsHiIAQ
現在、東京マルイの次世代電動ガンMP5A5はどのショップを見ても「価格未定」「発売時期未定」となっています。
次世代MP5の発売時期は?
来年の可能性もあるからみんな期待しないで!#東京マルイ#次世代MP5 #AKMは2021春頃発売予定って言ってたよ https://t.co/p507OpTR6J pic.twitter.com/AtEvTQ1CIL
— Ogusan@AK47 (@Com26Hiro) April 23, 2021
そこでまず発売時期について考えてみましょう。
東京マルイの発表では「2021年夏頃の発売を目指している」とアナウンスされていますが、老兵を初め、東京マルイとの付き合いの長いサバゲーマーたちの中には、このマルイのアナウンスを鵜呑みにしている者など皆無でしょう。
東京マルイの新製品は発売予定時期から早くて半年、通常は1年以上遅れるのがデフォとなっています。
直近の例を挙げると2021年春に発売予定のガスブローバックライフル「AKM」もいまだに発売時期未定の状況です。
今回の次世代MP5も早くても今年の冬のボーナス時期か、それを過ぎれば1年後の春頃かもしれませんね。
次世代MP5の発売価格は?
東京マルイの次世代MP5の発売価格を予想するのに一番手っ取り早い方法は同グレードの他社製品を基準にして考えることでしょう。
現在、東京マルイの次世代MP5のライバルとなる製品はICS製のMP5でしょう。
ICSは台湾のエアガンメーカーで、同社のMP5のハイエンドモデルは電子トリガー搭載、スチールアッパーフレーム、3バースト、プリコック機能標準装備という優れたギミックを搭載しています。
唯一搭載されていないのがリコイルユニットですが、それを補ってあまりあるのがトリガーのキレを良くするプリコック機能の搭載です。
ここまでの機能を盛り込んで実売価格が5万円前半なので、これをライバルに戦う東京マルイの次世代MP5は、販売価格を5万円前後に納めないと厳しいでしょう。
東京マルイがこのICSのMP5ハイエンドモデルに勝っているのは、製品の入手のしやすさとリコイルユニットの存在です。
そこで、リコイルの強い電動ガンとして売っていきたいところですが、リコイルショック電動ガンにはBOLTという強敵が控えています。
BOLTは東京マルイの次世代電動ガンのリコイルユニットを研究し尽しており、リコイル電動ガンでは最強というポジションにいます。
しかもその強烈なリコイルに加えて、電子トリガー、プリコック、3バースト搭載、スチール製の高剛性アッパーレシーバー採用となっています。
このBOLT製リコイルMP5のハイエンドモデルが約6万円ほどであることを考えても、東京マルイの次世代MP5は実売価格を5万円から5万円台半ばぐらいに設定しないと苦しい戦いになるでしょう。
東京マルイ次世代MP5についてのまとめ
#次世代MP5
サブマシンガンの次世代だすならMP5以外のモデルでお願いしたかったです。スタンダード電動ガンのMP5で間に合ってます(^_^;)まぁ、次世代はリコイルが楽しめるかもしれないけど💧 pic.twitter.com/GbGbc1sZvy— Blackmaou.Tomy (@BlackmaouTomy) April 20, 2021
今回は4月23日の発表された東京マルイの次期新製品「次世代電動ガンMP5A5」について、ネットや動画からの情報を参考にまとめてみました。
その情報に、これまで老兵がMP5ユーザーとして経験したことを織り交ぜて皆さんにお届けしています。
今回の次世代MP5発表で感じたのは、「東京マルイのモデル選びのセンスは相変わらずよくわからん!」ということです。
たしかにMP5はサブマシンガンの歴史を変えた名器です。
しかし、MP5自体が登場して既に半世紀を超える代物で、現代戦の装備にはいささか古めかしい香りがついて回ります。
レイルハンドガードとオプティカルサイト搭載が前提の現在のサバゲーでレトロなMP5のスタイルがどれほど支持されるのか?
興味深く観察したいと思います。