アメリカ軍の制式採用ハンドガンの口径は、約75年間使い続けたM1911A1からベレッタのU.S.M9ピストルに更新された1985年以降、
.45ACPから9㎜パラベラムに変更されたのですが、一部の部隊では.45ACPのノックダウンパワーへの信奉を捨てきれず、
独自に.45ACP口径のハンドガンを採用するチームが特殊部隊を中心に存在したのです。

アメリカ軍では部隊の予算内なら自分たちが選んだ武器を調達する自由度があるんですね。
それが海兵隊海外遠征部隊のM.E.UピストルやコルトM45A1であり、SOCOM(合衆国特殊戦統合軍)が採用したMK23モッド0だったりするんです。
ちなみに.45ACPと9㎜パラとのノックダウンパワーの違いをイメージで表現すると、.45ACPの威力がバットの先端で相手を叩き潰すぐらいのパワーであるのに対して、
9㎜パラの威力がバットのグリップで相手を攻撃するぐらい威力の差を感じるそうです。

一般兵でないテロリストやゲリラを相手にする特殊部隊では、1発で行動不能に陥らせる威力が最優先されるようです。
前置きが長くなりましたが、今回はそんな特殊部隊のエリートチームである海軍特殊部隊NAVY SEALsに2011年に採用されたH&K HK45CのプロトタイプとなったHK45と、
それをガスガンとしてモデルアップした東京マルイのガスブローバックガン「HK45」をご紹介します。
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東京マルイのガスガンHK45とは

東京マルイのHK45は2014年4月18日に発売されたガスブローバックガンです。
HK45のガスブローバックガンは、東京マルイが発売する2年前にKSCからモデルアップされていますが、
同じHK45をベースにモデルアップしながらも、両者にはそれぞれのメーカーの個性が出た仕上がりになっています。
両者の違いは「サバゲーでの道具に徹した性能と耐久性を持つ東京マルイ」に対して「実銃の再現性とリアルなディテールに拘るKSC」という独自性が出ており面白く感じます。
今回は東京マルイのHK45ガスブローバックガンのご案内をお届けします。
東京マルイのガスガンHK45の外観の再現性

東京マルイのガスブローバックガンHK45では、実銃のHK45の外観の特徴をほぼ忠実に再現しています。
まず最初に目につくのがスライドを引いてホールドオープンさせた時のバレルが僅かに上を向いて傾くティルトバレルロッキングの再現です。
同時にHK45独特の命中精度維持のためのバレル先端の黒いOリングも実銃同様に再現されています。
スライドやチャンバーの刻印類も可能な限り実銃の刻印を踏襲し、ファイアリングピンのモールドもリアルに再現されています。
ハンドガンを撃つ時にこのファイアリングピンはリアサイトと共に最も目に入りやすい場所なので、モールドであってもファイアリングピンを再現してくれたのはリアルさがアップするため嬉しいところです。
東京マルイのガスガンHK45の機能の特徴

実銃のHK45にはアンビタイプのマガジンキャッチレバーとスライドキャッチレバー、
ハンマーを起こしたままコック&ロックができるセフティー機能とデコッキング機能を一体化したコントロールレバー、
使い手の掌の大きさに合わて握りやすさを最適化できる「スパイダーグリップ」と名付けられたモジュラーグリップシステムなどの機能がありますが、
東京マルイのガスブローバックガンHK45でもこれらの実銃の機能を忠実に再現しています。
東京マルイのガスガンHK45の操作性の特徴

東京マルイのガスブローバックガンHK45は左右両面から操作できるスライドキャットレバーと、
USPのデザインを継承したパドルタイプのアンビマガジンキャッチレバーが再現されていて、
右利きの人ならグリップを握ったままで全てのレバー類の操作が可能です。
ただ、コントロールレバーの操作だけは左サイドオンリーになっているので、左利きの人にとってはデコッキングやセフティーのオン/オフはやりにくく感じるかもしれません。
東京マルイのガスガンHK45の実射性能
東京マルイのガスブローバックガンHK45の平均初速は72.87m/sと、東京マルイのガスブローバックガンの中でも高い部類に入るモデルです。
また、直径15mmのシリンダーを採用したブローバックユニットによりシャープなリコイルを実感させてくれます。
東京マルイのガスガンHK45が合う装備

実銃のHK45は2011年にアメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALsに制式採用となったHK45C及びHK45Cタクティカルのプロトタイプとなったモデルです。
ただコンパクトモデルと言ってもHK45Cタクティカルはサプレッサー対応バレルであるため、全長はフルサイズのHK45よりも3ミリほど長くなっています。
このサイズを考えると、HK45とNAVY SEALs風特殊部隊装備を合せても不自然ではありません。
また、ホルスターはデューティータイプホルスターが使いやすいでしょう。
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HK45とはどんなハンドガン?

ここからは実銃のHK45の話になります。
実銃に興味がない人は、この先はスルーしてください。
H&K HK45は、ドイツの銃器メーカーであるヘッケラー&コッホ社が2006年に開発し、
20111年にアメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALsに制式採用となったHK45C及びHK45Cタクティカルのプロトタイプとなったモデルです。
ただ、いきなりこの世にHK45が誕生したのではなくHK45が完成するまでには、それに至る来歴があるのです。
まずはその来歴を知らないと、HK45の特徴やシステマティックな改善点が理解できないわけです。
ちょうど、家康を語るのに秀吉や信長を知らないと家康を理解できないのと同じですね。
そこでまずはHK45の来歴を簡単にお伝えします。
HK45誕生の来歴

アメリカ軍では定期的に兵器の更新プログラムを実施するのですが、多くの銃器メーカーがこのプログラムに振り回されます。
皆さんがよく耳にするのが、ベレッタM92Fが米軍サイドアームに採用された時に実施されたJoint Service Small Arms Programでしょう。
その後も幾度となくこの兵器更新プログラムはトライアルとキャンセルを繰り返し、欧米の銃器メーカーを振り回し続けてきました。
銃器メーカーもこんなメンドさいトライアルに本音では参加したくないのでしょうが、もし制式採用を獲得すると莫大な利益が得られるため無視できないのです。
そしてこの兵器更新プログラムはHK45にも大きな影響を与えています。
それが1989年に行なわれたOHWS(オフェンシブハンドガンウェポンシステム)と2005年に実施されたJPC(ジョイントコンバットピストル)プログラムです。
この2つの更新プログラムがHK45の誕生に直接あるいは間接的に影響を及ぼしています。
HK45のルーツ:SOCOMマーク23からUSPまで

HK45の誕生に影響を与えて1つ目の更新プログラムが1989年に行なわれたOHWS(オフェンシブハンドガンウェポンシステム)プログラムです。
これはSOCOM(United States Special Operations Command : USSOCOM:アメリカ特殊作戦軍)が提示したCQBに特化したハンドガンのプログラムです。
ようするに本来はサイドアームであるハンドガンに攻撃強襲型ピストルとしてのスペックと威力を求めたものでした。
そのため使用カートリッジはマンストッピングパーワーに優れた.45ACPが前提でした。
このプログラムに参加したのはコルト社がコルト・ダブルイーグル、H&K社が当時開発中だったUSPのプロトタイプを流用して試作した新型45口径ピストルでした。
このトライアルの結果、OHWSプログラムをクリアーしてアメリカ特殊作戦軍に採用されたのがHKマーク23(SOCOMマーク23モッド0)です。
ちなみに「H&K MARK 23(SOCOM ピストル)はUSPがベースである」とwikiで書かれているのは、試作中のUSPの一部を流用したためであり、
市販されたUSPがベースであるのではありません。
USPはH&K MARK 23(SOCOM ピストル)採用後も試作を重ね、発売がかいしされたのは1993年になってからです。
HK45のルーツ2:USPからHK P30まで

さてOHWS(オフェンシブハンドガンウェポンシステム)プログラムをクリアーしてSOCOM制式採用ピストルの座をもぎ取ったMK23ピストルですが、実際に運用してみると大きすぎて不評を買ってしまいます。
その理由は「一般的な軍用サイドアームの枠を超えるかなり特殊な大型のプライマリーウェポン」に仕上がってしまったためです。
アメリカ軍は時に理想を追求するあまり銃器メーカーに「猫の子の中からトラの子を見つけて来い!」というような要請を突きつけ、
結果的にトライアルに適合した銃がない!とプログラムをキャンセルして銃器メーカーを振り回したり、採用してもMK23ピストルのように現場にそぐわない銃の運用を押し付けるケースがあるのです。
このMK23ピストルの採用後にアメリカの法執行機関の間であるムーブメントが起こります。
それが新たなカートリッジである.40S&Wの人気の急上昇です。
.45ACPより反動が軽くマガジンの装弾数も増やせ、9㎜パラよりもマンストッピングパーワーに優れた.40S&W弾は瞬く間にアメリカの法執行機関の間に普及していきます。
この.40S&W人気を見逃さなかったメーカーがMK23ピストルをデザインしたH&K社です。
H&K社は.40S&Wをメインにした銃の開発を、MK23ピストルのベースに流用した試作中の銃をもとに開発します。
それが1993年に発売されたHK USPです。
口径は.40S&Wと9㎜パラべラム、1995年には45口径版のUSP45を追加、さらにその翌年の1996年には口径に.357SIGを追加すると共にUSPコンパクトをバリエーションに追加します。
それまでMK23よりは小型であるものの、全体的にまだ大柄であったUSP45を敬遠していたユーザーもUSPコンパクトの登場でも人気が一気に加速します。
H&K社はUSPのデザインに当たってあまりにも大型となったMK23ピストルを反面教師にしたようです。
全体的にスリム化してポリマーフレームを採用、ワルサー社がP99で見せたバックストラップ交換による使用者に合わせたグリップの最適化も取り入れました。
そしてMK23ピストルでは別々であったデコッキングレバーとセフティーレバーを一体化して、コントロールレバーとして進化させたのです。
このコントロールレバーはHK45にも継承されています。

その後の2001年には米法執行機関の要請で開発したLEM(low enfocement modification)を搭載したUSPコンパクトを追加します。
このUSPコンパクトの基本設計を元に改修版を企画し開発されたのがHK P2000です。
このP2000ではサイズもUSPコンパクトよりも小型化し全体的にフォルムもスリム化しています。
そして2004年にはH&K社にとって画期的な事件が起きます。

それがアメリカ合衆国国土安全保障省(United States Department of Homeland Security)がP2000とLEM搭載型USPコンパクトを大量購入したのです。
これはH&K社にとって歴史に残るアメリカのLE機関との大型契約だったのです。この勢いの乗ってP2000を大型化したのがP3000です。
P3000はヨーロッパのピストル市場の都合で後にHK P30と名称を変更します。
このHK P30がHK45のベースになったとwikiでは書かれています。
HK45のルーツ3:HK P30はHK45のベースなのか?

wikiでは「HK45はP30をベースにトライアル(JPC)の要求スペックに適合するように開発された.45ACPモデルである」というように書かれています。
この記述に間違いはないのですが、若干の補足が必要です。
まず、HK45とP30の開発はそれぞれが独立したプロジェクトとして当初はスタートしていました。
P30がHK45のベースというよりも、両者が兄弟のような関係であり、開発にあったて前提的な改修点を分かち合うような関係だったようです。
そして、HK45は2005年のJPCプログラム発表の1年前にはHK45のベースとなる45ACPピストルの開発は殆ど終わっていたのです。
そのためHK45はJCPのために開発されただけの銃ではないと言えます。
しかし結果的にはJCPの要求スペックを参考にHK45は完成されたのです。
このHK45の開発にはH&K社がコンサルタントとして招いた元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカースとタクティカルトレーナーのケン・ハッカーソンとの意見交換が大きく影響しています。
彼らは初めHK版1911クローンを提案しました。
しかし、競合各社が既にM1911クローンの製品化をしており、タイミングを逃したH&K社ではこの案はお蔵入りになります。
そこで両者が提案したのがUSP45をスリム化した新型ピストルの開発です。
この時の具体案として「P2000のスライドのデザインの継承」と「P2000で省略されたUSPのコントロールレバーの復活」を提唱したのです。
こうして完成した45口径新型ピストルは2005年のJPCプログラムに参加します。
しかし、アメリカ軍はこのトライアルに参加した銃器メーカーの苦労など微塵も考慮せずに、ちゃぶ台返しのようにプログラムをキャンセルします。
そうしてアメリカ軍の制式採用の可能性を絶たれた新型45口径ピストルは2007年のショットショーでデビューし、HK45の名称で一般に販売が開始されるのです。
この一連の流れががHK45の誕生に関する来歴です。
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