今回ご紹介する東京マルイのガスブローバックガンHK USPコンパクトは2015年から発売されているガスガンです。
このマルイのUSPコンパクトの魅力は、マルイ製ガスガンの中でもグロック17 Gen.4と1,2を競う撃つ楽しさを実感させてくれることです。
さらにリコイルも15㎜の大型シリンダー採用のブローバックエンジンのおかげで、マルイのガスガンの中でも最強クラスの反動を味合せてくれます。
サバゲーに求められる連射させてなんぼ!のコスパの良いガスブロハンドガンをお探しの方におすすめの、東京マルイのガスブローバックガン USPコンパクトをご紹介します。
東京マルイ ガスブローバック USP コンパクト|外観の再現性
東京マルイのガスブローバックガンUSPコンパクトは実銃をできるだけ忠実に再現しようと試みています。
まずスッキリとしたデザインのグロックに対して、質実剛健を好むゲルマン民族魂を象徴するようなゴツく角ばった幅広のスライド。
チャンバー横には9mm×19の刻印が入れられています。
そのスライドの後端の奥まったところにはファイアリングピンがモールドで再現されていて射撃時にテンションが上がります。
そしてエキストラクターもモールドながら再現されています。
USPコンパクトはコンシールドキャリーが主な公用機関での運用を前提にデザインされています。
その現れがホルスター等から銃を抜く時に、衣服に引っかからない様に出っ張りを無くしたデホーンドタイプのボブドハンマー仕様です。
このボブドハンマーにより素早く取り出す際に引っ掛かりの少ないデザインとなっている実銃の外観を、東京マルイは忠実に再現しています。
東京マルイガスブローバックUSPコンパクトの使用感
東京マルイのガスブローバックUSPコンパクトは、サブコンパクトであるためグロック19と同じような使用感があります。
デューティータイプのグロック17やUSPmFN FNXと比べると、携行時の負担感が減るはずです。
そして15mmシリンダーのブローバックエンジンによって、強烈で気持ちのいいリコイルがガツンガツンくるので夏場のお供には最高に楽しい一丁です。
この楽しさが傑作ガスブローバックガンと呼ばれる所以でしょう。
CO2ガスブロを除いたガスブローバックガンでは、おそらく最強のリコイルを楽しませてくれるでしょう。
東京マルイ ガスブローバック USP コンパクト|実射性能
東京マルイのガスブローバックUSPコンパクトの初速は平均で62m/s台です。
弾道も東京マルイのガスガンらしくフラットで伸びのある放物線を描きながら、ターゲットを捉えてくれます。
東京マルイ ガスブローバック USP コンパクト|操作と機能の再現性
東京マルイのガスブローバックガンUSPコンパクトは実銃の機能と操作性をできるだけ忠実に再現しています。
まず、マガジンチェンジレバーが左右のどちらからも操作できるアンビタイプになっています。
パドルタイプのレバーは左右で繋がっているので、どちらからでも操作できます。
USPシリーズの操作系で最大の特徴であるのが、デコッキングとセフティーの操作を一本のレバーで機能させる「コントロールレバー」です。
このコントロールレバーの操作はガバメントのセフティーレバーの操作を敢えて踏襲させています。
これはM1911の「コック&ロック」のセフティ操作に慣れたアメリカのユーザーが使うことを前提でデザインしているからです。
USPコンパクトもハンマーを起こした状態でセフティーがかけられるコック&ロックが可能です。
またハンマーが起きた状態でコントロールレバーを下げると、SIG/SAUER P226のようにハンマーを安全にデコッキングできます。
もちろん、ハンマーダウンの状態でもコントロールレバーを上げるとセフティーオンになります。
マルイのガスブローバックガンUSPコンパクトには長いスライドキャッチレバーがついていますが、このレバーも実銃と同様の機能と操作性を再現しています。
東京マルイ ガスブローバック USP コンパクト|ガスガンとしての機能
東京マルイのガスブローバックガンUSPコンパクトには、ガスガンとして独特の機能が付いています。
その1つ目がガスブローバックのリコイルを生み出す15㎜の大口径シリンダーを採用の採用です。
これにより力強いブローバックを実現しています。
2つ目の機能はスライドをホールドオープンにすればチャンバーから指を入れて調節できるホップ調整ダイヤルです。
この機能でスライドを分離せずともホップ調整ができます。
3つ目がスライドストップの機能です。
東京マルイのガスブローバックガンUSPコンパクトのスライド内にはマガジンフォロアーによって押し上げられ、スライドキャッチレバーと亜鉛ダイキャスト製ブリーチと噛みあう構造になっています。
この仕組みのおかげでスライドノッチにスライドキャッチレバーが接触せずにスライドをホールドできるので、確実なホールドオープンとスライドのノッチが削れない耐久性を両立させています。
またマルイのUSPコンパクトのマガジンには2つのマガジンバンパーが選べますが、このマガジンバンパーを交換するにはマガジンボトムのガス注入バルブを外さないと交換ができません。
これも東京マルイのガスブロバックUSPコンパクト独特の機能だと言えるでしょう。
東京マルイ ガスブローバック USP コンパクト|他のマルイ製ガスブロとの違い
東京マルイのガスブローバックUSPコンパクトと他のマルイ製ガスガンとの違いは、リコイルの強さに現れています。
M&P9、HK45、G17Gen4、USPなどもUSPコンパクトと同じ15mmシリンダー採用モデルですが、
なぜかリコイルの強さと撃つ楽しさと作動感はUSPが頭一つ飛び抜けています。
USPコンパクトはUSPよりもスライドが短いためブローバックの重さはUSPの方が、より重たく感じますね。
東京マルイ ガスブローバック USP コンパクト|KSC版USPとの違い
東京マルイのガスブローバックUSPコンパクトとKSCのUSPコンパクトの違いは、対象としているユーザーの違いでもあります。
KSCではリアルさ実銃の再現性を求めるハイエンドユーザーを対象にしています。
そのため「リアルライブオペレーション」や「ロックアウトデバイス」などの実銃と同様のシステムを搭載しています。
ただし、リコイル自体は東京マルイよりも大人しい傾向にかんじます。
それに対して東京マルイのUSPコンパクトは、サバゲーで「撃ってなんぼ」をお手ごろ価格でという作りです。
コスパの高さでは東京マルイですが、エキストラクターのライブ感や刻印のリアルさでは、KSCのほうに軍配が上がります。
実銃の H&K USPコンパクトの来歴
ここからは実銃のHKUSPに関する話になります。
実銃のH&K製オートピストルのメカニズムや来歴に興味がない人は、ここから先の記述はスルーしてください。
さて20世紀初頭よりアメリカの銃器メーカーには伝統的にオートマチックピストルよりもリボルバーが得意という風潮があります。
コルトもS&Wも創業当初はリボルバーで成功したメーカーであり、唯一の例外がジョン・ブローニングが設計したM1911コルト・ガバメントです。
天才的な銃器デザイナーとしての才能とセンスを持つ彼がアメリカに生まれていなかったなら、現在のアメリカのオートマチックピストルの市場はヨーロッパ製ハンドガンに蹂躙されていたことでしょう。
それに対してヨーロッパでは20世紀初頭から各銃器メーカーがセミオートマチックピストルを積極的に開発してきました。
モーゼル、ルガーを開発したゲオルグ・ルガーが所属していたDWM社、ワルサー、ベレッタ、SIG、FN、ステアー、といった老舗の銃器メーカーです。
これにWW2以降に創業したH&K社と、1980年代に彗星のごとく登場したグロックが加わります。
こうしたヨーロッパの銃器市場を生き残るべく戦後生まれのH&K社では、ライバル会社とは一線を画したアイデアと独自性を武器に銃器開発を行ってきたのです。
H&K製ハンドガンの特徴とは?
H&K社はドイツの旧モーゼル社で銃器開発を行っていた技術者たちが立ち上げた戦後生まれの銃器メーカーです。
その特徴は「他社にないユニークは発想で銃をデザインする」というものです。
言わば競争の激しいヨーロッパの銃器市場、特に自動拳銃の世界で「オンリーワン」を目指したということですね。
そのユニークな発想でデザインされたのがHK P9SとHK P7、そしてハンドガンのフレームに世界で最初にポリマー素材を採用したHK VP70です。
しかし、こういった独自性を追求した自動拳銃の開発は良く言えばユニーク、
悪く言えば一部の好事家相手の色物的評価を得るにとどまりヨーロッパの銃器市場を制覇するには至らなかったのです。
その原因は独自性を追い求め凝りすぎた作動方式にあったのです。
H&K製ハンドガンの作動方式特徴1,ローラーロッキング採用のP9S
H&K製ハンドガンの作動方式の特徴の1つ目がローラーロッキング式ディレードブローバックをP9Sに取り入れたことです。
このローラーロッキング方式のディレードブローバックというのは、
戦前のドイツのStg.44から始まり、
戦後のスペインのセトメ・ライフルに引き継がれて戦後の西ドイツ軍に採用されてG3ライフルと、
現在のサブマシンガン代名詞的モデルであるHK MP5シリーズに取り入れられている作動方式です。
この凝りに凝った作動方式をハンドガンに採用したP9Sは、
コスト面でもメンテ面でも当時一般的な作動方式となっていたブローニング式やフリップアップ式のショートリコイルには敵わなかったのです。
ブローニング式ショートリコイルと違い、バレルが固定されるP9Sの作動方式は命中精度は高いものの、
アメリカ&ヨーロッパの公用機関が採用するにはコストが高すぎてセールス的には成功しなかったのです。
H&K製ハンドガンの作動方式2,9㎜パラなのにシンプルブローバック?のVP70
H&K社が次に取り入れたハンドガンの作動方式がHK VP70で採用した9㎜パラベラムなのにシンプルブローバックで作動させる方法です。
一般的にシンプルブローバックで作動させるには.380ACP(9㎜ショート)までが限界で、
それ以上の威力のカートリッジではブレットがバレルを出る前にガスがシューターに吹き戻ってきて危険だというのが定説でした。
このH&K社がVP70で見せた9㎜パラでもシンプルブローバックで作動させるからくりは、よく言えば斬新、悪く言えば邪道と言っていい方法です。
その秘密は二つあります。
その1つ目が、バレルのライフリングの溝を通常の9㎜口径のバレルよりも深く掘られていることです。
これにより発射時の燃焼火薬ガス圧が深く掘られたライフリングの溝によって下げられ、9㎜パラを撃っても.380ACP並みに威力が下がるのです。
そして2つ目の秘密が他のハンドガンに比べて大きく重いスライドとリコイルスプリングで、スライドの解放時期を遅らせるという方法なのです。
しかし、この大きく重いスライドを金属フレームにそのまま載せると、ただの重たいハンドガンになってしまいます。
その対応策がハンドガンのフレームにポリマー素材を採用して軽量化するという方法です。
これが世界で最初にハンドガンのフレームにポリマー素材を採用したHK VP70というハンドガンの誕生なのです。
実にグロック17よりも13年も前の話です。
H&K社がこのVP70で目指したのは、「兵器購入予算をあまり取れない諸国向けの銃器」というコンセプトでした。
前述の凝りに凝ったメカニズムを取り入れたP9Sとは真逆の発想です。
18+1発という装弾数の多さ、ポリマーフレーム採用によるコストダウンと生産性の高さ、ストライカー方式による撃発方式という後のグロック17に多大な影響を与えるコンセプトでしたが、
セールス的には大失敗に終わりました。
H&K製ハンドガンの作動方式3,ディレードガスブローバック採用のP7
凝りに凝ったメカニズムによるコスト高で失敗したP9S、
「兵器購入予算をあまり取れない諸国向けの銃器」として低コストモデルとして開発したVP70、
いずれもセールス的には成功しなかったH&K社は「やっぱりオイラたちの銃は独創性が命だよね!」ということで、思いっきり独自路線に原点回帰します。
それがコンパクトでマニュアルセフティーなしの9㎜パラ口径のハンドガン、
作動方式はガス圧利用のディレードブローバック、
激発方式はスクィーズコッカーと連動したストライカー方式といったP9Sに負けず劣らずの独自の世界観を持つP7の開発です。
P7のユニークなところはスクィーズコッカーにあります。
P7ではファイアリングピンが常にレスト状態にあり、ファイアリングピンブロックでロックされています。
グリップ前のスクィーズコッカーを握って初めてファイアリングピンブロックが解除され、ストライカーがコッキング位置まで後退し初めてトリガーを引いて撃発できる状態になるのです。
そして撃発後は、チャンバー下に設けられたフルートからバレル下のシリンダーに発射ガスの一部が流れ込み、スライドの後退を送らせます。
これが「ガス圧利用のディレードブローバック」です。
もちろん、このP7も軍や公用機関の採用を目指して開発されたハンドガンです。
しかし、いざリリースしてみると、公用機関よりも民間市場向けのコマーシャルモデルのほうに人気が集中してしまいます。
公用機関で人気が出なかった理由は二つあります。
1つはあまりにも操作性が独特であった事、P7のスクイーズコッカーの操作には慣れが必要だったのです。
SIGやグロックといったハンドガンは不意に渡されても、そのままトリガーを引けば発射できます。
しかしP7の場合では独自の操作性であったため、他の銃からスイッチングしても上手く対応しずらかったのです。
SIGからグロックにスイッチングしても、ある程度は銃を扱った経験がある人なら何とか使いこなせます。
しかしSIGやグロックを使いなれている人でもP7のスクイーズコッカーの操作を知らなければ、上手く発射できないのです。
このP7の独特の操作法は撃ち合いなどの緊張下では、命取りのミスに繋がります。
H&K社がP7に持たせた独自性が公用機関での採用に歯止めをかけたのは皮肉ですね。
そしてもう一つのP7の問題点が「ガス圧利用のディレードブローバック」の高威力カートリッジ使用時のスライド早期開放問題です。
発射ガスの一部をバレル下のシリンダーに流してブローバックのタイミングを遅らせるディレードブローバックでは、
9㎜パラ以上の威力のカートリッジを撃つとブレットがバレルを出る前にスライドが後退し始めるのです。
そのためP7の.40S&Wモデルではスライドの早期開放対策として、大型化して重量を増したスライドを載せることで対応しました。
しかしアメリカの公用機関が求める.45ACPでは、スライドの早期開放問題を解決できずにアメリカの公用機関採用に可能性は絶たれてしまったのです。
実銃のHK USPコンパクトの特徴とは
自社の開発する銃器に独自性を追求し続けたH&K社ですが、
一部のユーザーやコレクターの心にはそのユニークさが刺さったようですが、軍や公用機関で採用を勝ち取るほどの汎用性はなかったのです。
オンリーワンを目指し続けたH&K社の開発コンセプトが変わり始めたのは1990年代になってからです。
その代表例がアサルトライフルのG36であり、ハンドガンのUSPです。
この両者の共通点はユニークさによるオンリーワン路線を捨て去り、タイムプルーフされた技術により銃器開発を行なったことです。
USPの場合では、それまで頑なに採用しなかったブローニング方式の「ショートリコイル」を作動方式に取り入れました。
さらにUSPの開発ではアメリカの市場に焦点を合わせた製品造りに徹底したことです。
その現れが.40S&Wを基準にしたデザインであり、ガバメントの操作性を取り入れたセフティーシステムなのです。
アメリカの公用機関では1990年頃から.40S&Wの人気が爆発的に伸び出します。
その.40S&Wの人気を無視できずに、H&社では.40S&Wを撃つ銃としてUSPをデザインしたのです。
前述したP7にも.40S&Wモデルはあったのですが、あまりにもスライドを大きくしたためにデザイン的には破綻していました。
そしてUSPがアメリカで受け入れられた理由が、ガバメントと同じようにハンマーを起こしたままセフティーをかけられる「コック&ロック」を可能にしたことです。
そしてHK USPは9㎜パラ、.45ACP、.357SIGとバリエーションを増やしながら、よりコンシールドキャリー向けのUSPコンパクトを公用機関と一般向けにリリースします。
現在のアメリカ市場では、USPよりもセミコンパクトモデルのUSPコンパクトの方が人気があります。
これは公用機関でG17よりもセミコンパクトモデルになったG19の方に人気が集まっているのと同じ理由でしょう。
HK USPはこの後、P2000⇒P30⇒HK45と進化を続け、アメリカの公用機関に採用されています。