東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックが4月19日に発売されました。
ガスガンでも電動でもなく10禁仕様のリアルカート式エアコッキングリボルバーということで、子供向けのモデルのイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし、10禁モデルとしては高額な販売価格、それに相応しい凝ったメカニズム、
そして初心者からヴィンテージユーザーまでが楽しめる奥の深い楽しみ方、
これらのことについての独断と偏見に満ちた考察をお届けします。
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックとは
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは東京マルイが2022年4月19日に発売されたエアコッキングハンドガンです。
元になった実銃はCOLT社が1873年に発表したシングルアクションリボルバーで「コルト・シングルアクション・アーミー(SAA)」別名「ピースメーカー」と呼ばれたモデルの砲兵(アーティラリー)バージョンです。
SAAには他にシビリアン、アーミー、ネービーというバージョンも存在しています。
このSAAの基本メカはSAAよりも40ほど前に登場したコルトM1836モデルでほぼ完成されています。
M1836からコルトウォーカー、ドラグーン、M1851ネービー、M1860アーミー、M1861ネービーと経て、1873年に「SAA」に辿り着きます。
基本メカはM1836からほぼ変わらず、違いと言えばパーカッションロックからセンターファイアーのメタリックカートリッジになったことぐらいでしょう。
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの特徴は
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの第一の特徴はリアルカート式のエアコッキングリボルバーということでしょう。
実弾の45ロングコルトを模したカートリッジをシリンダーにロードする様は、まるで実銃のような雰囲気が楽しめます。
パワーソースはガスや電気などではなく、ハンマーと連動したピストンでエアーを圧縮してBB弾を飛ばす「エアコッキング」です。
2つ目の特徴はこのモデルが対象年令10才以上という仕様であることです。
そして3つ目の特徴が対象年令10才以上のモデルでありながら他の対象年齢18歳以上のガスブローバックハンドガンと同じ価格帯という販売価格でしょう。
他の対象年令10才以上のエアコッキングハンドガンが2500円~5000円ほどの価格帯に納まっているにもかかわらず、
この東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックだけがかなり強気の販売価格に設定されているのです。
この理由については後ほど考察をいたします。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの実射性能は?
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの実射性能は、この記事をお読みの方にとって一番気になるところでしょう。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは可変ホップシステム搭載で、推奨されるBB弾は0.12g~0.2gとされています。
まずは、この2種類のBB弾を使った時の初速について、その後に射程距離や弾道についてご報告します。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの初速
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの初速
0.12gBB弾の初速=40~41㎧
0.2gBB弾の初速=30㎧前後
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの射程距離
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの射程距離(直進弾道で)
0.12gBB弾の初速=15mぐらいまでなら
0.2gBB弾の初速=7mぐらいまでなら(0.2gではホップがかかりきらない)
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの弾道特性
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの弾道特性
0.12gBB弾及び0.2gBB弾では初速の低下と共に大きく左にカーブしながら落下していくようです。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックのメカニズム
東京マルイのSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックはBB弾に安定したホップをかけるためと、
シリンダーから送られたエアーのシーリングを上げるために、エアーリボルバーとしてはかなり凝った内部メカを搭載しています。
この内部メカの凝った造りを支えているのが可動式ブレットを持つ3ピース構造のカートリッジです。
このあたりについてのご説明をします。
新機構の「45 LONG COLT カートリッジ」
東京マルイのSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックに同梱されている「45 LONG COLT カートリッジ」は、
これまでのエアーリボルバーなどのカートリッジとは一線を画す作りになっています。
この「45 LONG COLT カートリッジ」は外側のケース部、内部のインナー部、そしてインナーに連結したブレット部の3ピース構造です。
この「45 LONG COLT カートリッジ」はプライマー部を押すと内部インナーが前進してブレット部を前に飛び出させます。
この構造によりSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは、
ハンマーをコックするとハンマーと連動したパーツによってシリンダー内のカートリッジのブレット部だけが前進します。
その結果、ブレット先端にセットされたBB弾はインナーバレル内のホップパッキンの押さえゴムに密着させられて、
リアルカート式のエアリボルバーとしては驚異的に安定した弾道を見せてくれるのです。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックのエアシールメカニズム
先ほど「45 LONG COLT カートリッジ」はハンマーに連動してインナーバレル内にブレット部が前進すると述べましたが、
その秘密はリコイルプレート(ファイアリングピンが飛び出すあたり)周辺に作られた可動式エアノズルの働きによるものです。
このあたりを少し詳しく述べてみましょう。
①ハンマーをコックする
②ハンマーに連動したレバーによってグリップ内に仕込まれたエアーポンプ内のピストンが下がる。同時にハンドがせり上がってシリンダーを回転させる
③ハンマーに連動したもう一つのレバーによってリコイルプレートに隠れていたエアーノズルがシリンダー内に前進してカートのリム部を押し込む
④シリンダー内にエアノズルが入り込むことでエアーポンプから送られるエアーロスを防ぐ
⑤トリガーを引くとエアポンプ内のピストンが上昇して、圧縮されたエアーがホースを通してブレット部のBB弾を発射する
これらの一連の流れでBB弾が発射されるのです。
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは高いのか?安いのか?
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは対象年齢10歳以上のエアリボルバーです。
同クラスのエアリボルバーなら高くても5000円程度で買えるエアリボルバーが、
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックに関しては税別12800円という価格設定がされています。
同クラスの製品の2倍以上というこの販売価格が見合った価格なのか?
それともぼったくり価格なのか?を考えてみます。
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックのターゲットになる人は?
どんなメーカーであれ、自社で製品を作る時には必ず見込み客というターゲットを想定します。
では東京マルイはSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックを企画した時に、どんな人たちを見込み客として想定したのでしょうか?
おそらく東京マルイが見込み客として想定しているのは西部劇やマカロニウエスタンを若い頃に見て憧れた年代の方でしょう。
その証拠にSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは対象年齢こそ10歳以上ですが、
販売価格は対象年齢18歳以上のモダンセミオートピストルのガスブロモデルと大差ないからです。
このことからも東京マルイのSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは子供向けと言うよりも、ある程度の年代層の方、
ぶっちゃけて言えば若い頃に西部劇やマカロニウエスタンを見て過ごした方たちの憧れや郷愁といったメンタリティーを対象に商品化されたものではないでしょうか。
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの存在意義とは
東京マルイのSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックはアンチ「M4クローン」、「アンチAKファミリー」、アンチ「ブローニング式ショートリコイルハンドガン」なのではないでしょうか?
昨今発表されるライフルタイプのエアガンのほとんどがM4やAKのクローンモデルばかりです。
レイルハンドガードやストックをコスメティック的に換装しても、皆どこかで見たようなモデルと言う印象を抱きます。
自動車でもそうですが、銃器の世界でも生産性や合理性を突き詰めていくと、皆同じような形に行きつくのでしょう。
しかし、そういったスペックや生産性を重視した結果、
似たようなモデルばかりになった現在の銃器の世界に飽きた人が、昔の「味わい深い」リボルバーであるSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックに魅力を感じるのではないでしょうか。
東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの価値はその人次第
東京マルイのSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは現役サバゲーマーの価値観で見るとあまり興味を示すモデルではないでしょう。
装弾数は6発、初速もショボイ、有効射程も0.12gを使ってせいぜい15mほど、もちろん風が吹けば弾道が取っ散らかります。
今流行りの拡張性も皆無、とてもサバゲーでの実用性があるとは思えません。
しかしそんなスペック的なハンディも東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの持つ「味わい深さ」の前では吹き飛んでしまうのです。
好きなワインやブランディーを味わいながら、SAAのハンマーをハーフコックにしてシリンダーを回すと「チチチチチッ…」奏でる音を聞いて満たされた心になる、
そんな大人のガンフリークにとって東京マルイSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは決して高い買い物ではないでしょう。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの楽しみ方とは
東京マルイのSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックの楽しみ方は様式美にこだわることです。
最低でもガンベルトにテンガロンハットと皮のブーツを揃えて楽しみたいモノですね。
アメリカではSAAを使った競技である「カウボーイ・アクション・シューティング」の人気が高いのですが、
その競技に参加する人達を見ると「ここは19世紀末の世界か?」と思うほど、参加者たちはその世界観にドップリと浸って楽しむそうです。
とてもじゃないけどTシャツとジーンズ、スニーカーで気軽に参加!という雰囲気ではないようですね。
ちなみにこのカウボーイ・アクション・シューティングに使われる銃については、日本のガンフリークたちはCOLTのSAAと思い込みがちですが、
競技に参加しているシューターたちに普及しているのは、スタームルガーの「vaquero」というSAAのレプリカモデルです。
レプリカと言ってもそこはスタームルガーのこと、
外見はSAAを受け継ぎながらも内部メカを見るとトリガーを引いた時にしか発射できない「トランスファー・バーシステム」や「インターナル・ロックセフティシステム」を搭載しており、
現代のモダンシングルアクションリボルバーとして仕上がっています。
本家COLTのSAAは競技で撃ちまくるには値段が上がりすぎているので、アメリカのシューターたちはリーズナブルな価格で頑丈で長持ち、
品質もいい「ブラックホーク」のバリエーションである「vaquero」を愛用しているようです。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックで遊ぶ際の注意点
カーボーイ・アクション・シューティングと言えば真っ先に思い浮かぶのがファーストドローでしょう。
いわゆるガンベルトから抜いて撃つタイムを競う「早撃ち競技」ですね。
その次に見かけるのが腰だめで撃つ「ファニング」でしょう。
その他としてはトリガーガードに指をかけて銃を回す「ガンスピン」ですね。
いずれも映画やメディアで見かけて真似をする人も多いでしょう。
この時に意識して欲しいのが東京のSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックはあくまでもオモチャであると言うことです。
実際に既にハンマーが折れた画像がSNSで投稿されています。
いくら金属パーツとはいえあの細いハンマーですのでハードに扱えば折れるリスクは十分にあるのです。
ガンスピンで銃を落としても同じことがいえます。
SAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックは1stロットのもともとの生産数が少なく既に品薄の状態だそうです。
再販もいつになるかは予想はつきません。
買ったばかりのSAA.45 アーティラリー 5 1/2インチ ブラックを壊さないように大事に使ってください。