「電動ガンってどんな仕組みでBB弾が撃てるのだろう?」
サバゲーを始めた何割かの人が必ず持つ疑問です。電動ガンは外装パーツと内部パーツに分かれます。
その中でBB弾の発射に関わるのが内部パーツである、いわゆるメカボックスと呼ばれるパーツです。メカボックスの仕組みを知らなくてもサバゲーは十分に楽しめます。
しかし、もしアナタがメカボックスの仕組みやバージョンごとの特徴を知っていれば、メンテナンスやオーバーホールはもとより、
海外製電動ガンを安価で手に入れて、東京マルイに匹敵する電動ガンに仕上げられます。
そういった楽しみ方を追求したい人向けにメカボックスに関して書きました。
エアガンのメカボックスとは
「エアガンのメカボックス」
電動ガンを持っていたりサバゲーに参加したことのある人なら一度は聞いたことがあるはずの言葉です。
エアガンのメカボックスとは、ピストンのコッキング動作を人力ではなくモーターの電力で行うように開発された装置です。
そのため通常はエアガンではなく「電動ガン」のメカボックスと呼ばれています。
このメカボックスを世界で初めて開発したのが東京マルイです。
電動ガンの第一号機「FAMAS」の登場で、
サバゲー用のエアガンの主流はそれまでの外部ソース式ガスブローバックから、バッテリーでBB弾を発射する電動ガンに移り変わったのです。
トイガン歴40年のマニアが伝える「初めてのエアガン選び」で失敗しないためのコツ
電動ガンのメカボックスの構造とは
電動ガンのメカボックスは、
・バッテリーの電気をモーターに繋げるスイッチ部
・モーターの回転をピストンに伝えてコッキングをするためのギア部
・シリンダーに溜まったエアーを押し出すピストンなどの内部パーツと、
それらを収納する外部フレーム(ユーザーの間では”メカボのガワ”と呼ばれている)の2つによって成り立っています。
メカボックスの種類と特徴について
現在のところ、東京マルイのメカボックスは全部で14種類のバージョンがあります。
そのうちスタンダードタイプの電動ガン用が8種類、次世代電動ガン用が5種類、HCサブマシンガン用が1種類になっています。
そのバージョンごとの特徴と代表的になモデルについてご説明します。
Ver1(ヴァージョン1)メカボックス
電動ガン第一号機であるFAMASのために作られたメカボックスです。最大の特徴は、組み上げる時にメカボックスのガワが閉めにくいことでしょうか。
モーターやシリンダーまでガワでカバーしているため、閉じる時にシリンダーが押さえにくいのです。
何らかのコツがあるのでしょうが、ijirareは細いドライバーで押さえながらなんとか組み上げました。出来ることなら関わりあいたくないメカボックスです。
HCサブマシンガンシリーズが出るまでは、ノーマルの電動ガン中、一番の高サイクルを誇っていました。
ファマスの終売が発表されたため、これからは少なくなっていくでしょう。
願わくばマガジン周りをM4と同じSTANAG仕様になってる後継モデルを海外メーカーが出してくれないかな…と願うこの頃です。樹脂フレームならいけると思うんですが…
Ver2メカボックス
M16ライフル&M4カービン系、
G3バトルライフル系、
MP5サブマシンガン系の電動ガンに採用されているメカボックスです。
汎用性が高く社外パーツも豊富にあるため、カスタムベースとして人気の高いメカボックスと言えるでしょう。
このVer2メカボックスと次にご紹介するVer3メカボックスの分解・組み立てをマスターしておけば、
マルイ製電動ガンのほとんどのメカボックスに対応できるマスターピース的な存在と言えるでしょう。
Ver3メカボックス
スタンダードタイプの電動ガンAK47用に開発されたメカボックスです。Ver2との違いはモーターをメカボックスに固定するケースが付属していることです。
AK47系以外にもHK36系、ステアーAUG、SIG552などに採用されています。
また、MP5系はほとんどがVer2メカボックスなのですが、MP5KとPDWではこのVer3メカボックスを採用しています。
Ver4メカボックス
セミオートマチック・ライフルの常識を覆した、高精度ライフル
可変ホップアップシステム 搭載
セミオート(単発)発射のみ
対応する純正のバッテリーと充電器をセットにしました。ドイツをはじめ、世界各国の軍・警察特殊部隊で活躍したPSG−1。東京マルイでは電動ガン随一のスナイパーライフルとしてモデルアップするために、性能から各ディテールまで徹底した設計が行なわれました。
HBLT
メカBOXにはこれまでとは異なる作動メカニズムを採用し、トリガーを引いてから発射までのレスポンスを大幅に向上。セミオートモデルとして1発1発の作動の確実性にこだわった仕上がりになっています。
また、遠距離からねらい通りのスナイピングが行なえるよう、専用のスコープを装備してします。射手に合わせて調整できるチークピースやバットプレートも再現し、発射時にはボルトが連動するギミックも搭載。スナイパー気分を心の奥底まで満喫できるモデルとなっています。
東京マルイの電動スナイパーライフルHK PSG-1用のために専用にデザインされたメカボックスです。このメカボックスの特徴は3つです。
1,狙撃銃らしい射程距離を得るため、他のメカボックスのシリンダー容量が多くしてある。
2,実銃のPSG-1同様にセミオートオンリーである
3,トリガーを引いてからBB弾が発射されるまでのタイムラグを押さえるために、常にピストンが後退位置でスタンバイする
4,バネのヘタリを防ぐためコッキングされたピストンを強制的に前進させるレバーが付いている。
Ver4メカボックスはPSG-1専用なので、他に採用しているモデルはありません。
リンクを探しましたが、
ちょっと見つからなかったのでバリエーションモデルのMSG90を載せておきますね。
Ver5メカボックス
東京マルイがUZIサブマシンガンに搭載するためにデザインしたメカボックスです。
このVer5メカボックスは「シリンダー内部をインナーバレルが貫通する」という特殊な構造であったため、
エアガンショップのカスタム部門が最後までメカボックスのカスタムができなかったという唯一のメカボックスです。
おそらくL型ボルトを採用してコンパクト化に成功した実銃のUZIサブマシンガンのスタイルを再現するために、このような特殊な構造のメカボックスになったのでしょう。
現在ではこのVer5メカボックスを使う電動UZIサブマシンガンは生産終了になっています。
Ver6メカボックス
Ver3メカボックスをベースにして、モータのの取り付け角度を任意に設定できるようにした非常に汎用性の高いメカボックスです。
モーターの角度を自由に出来るということは、あらゆるタイプの電動ガンに使えそうなのですが、このVer6メカボックスが採用されているのはFN P90とトンプソンSMGだけです。
P90はVer6メカボックスを搭載して、スタンダード電動ガンとハイサイクルカスタムであるHCシリーズを展開して今したが、Ver6メカボックスに電子トリガーユニットを搭載したニューバージョンを発売しました。
それが電動ガンプラスシリーズ第一弾であるP90+です。
ちなみにスタンダード電動ガンのP90はバットプレートと内部のフタを外せば、メカボックスが簡単に引き出せます。
内部もフタもネジ2本で固定されているだけなので、全電動ガン中、最もメカボックスが取り出しやすいモデルでしょう。
メカボックスのメンテにチャレンジしたいサバゲー初心者には、P90はおすすめの電動ガンです。
Ver7メカボックス
東京マルイがM14のストック内に納めるためにデザインしたメカボックスです。
Ver7メカボックスの注意点はメカボックス外部にスプリングなどの細々としたパーツが付いており、気を付けないと小さなパーツを無くしやすいことです。
さらに、ストックからアクション本体を取り出す時に、メカボックス後部を囲うように配置されたセレクターレバーのパーツが折れやすいのも要注意です。
現在の東京マルイではメカボックス内の単体パーツが入手しづらいので、重ね重ねご注意ください。
Ver8メカボックス
Ver8メカボックスはスタンダード電動ガンの89式小銃のためにデザインされたメカボックスです。
見た目はVer2メカボックスと変わらないのですが、セレクタープレート側に3つのギアが付けられているのが特徴です。
この3つのギアは89式小銃の3点バーストを再現するためのパーツなのですが、
メカボックスのメンテナンスやオーバーホールに関してよほどのスキルと自信がある人以外は手を付けない方が無難でしょう。
ijirareのサバゲー仲間でどんな電動ガンでもカスタムする友人がいるのですが、その友人でさえ、89式の修理は東京マルイに依頼したほどです。
サバゲーや電動ガンメンテナンスの初心者さんは、89式のメカボックスに手を出す時は、ジャンクになるかもしれないという覚悟が必要です。
メカボックスVer9(NEW Ver1メカボックス)
2007年に登場した次世代電動ガン第一号機のAK74MN用に設計されたメカボックスです。
リコイルユニットを組み込むために内部パーツを一新して、AK74シリーズ用として開発されました。
次世代用メカボックスNew Ver2
次世代電動ガンM4A1 SOPMODやレシーライフル、HK416Dといった次世代M4系電動ガンに採用されているメカボックスです。
Ver9との違いはマガジンの残弾が0になると作動が停止し、
新たなマガジンを装填してボルトリリースレバーを押さないと再起動しない「オートストップ機能」が搭載されたことです。
次世代AK47系メカボックス
2017年に発売された次世代電動ガンAK47Ⅲに搭載された新しいメカボックスです。
特徴は、Ver9で実現されなかったAK系アサルト電動ガンのオートストップ機能を新たに追加したことです。
AK74で残弾0でも作動が停止しないことに不満を持っていたユーザーも、
次世代M4と同様のリアルな操作感を得られたことで、長い間望んでいたことが叶ったと言っていいでしょう。
HCメカボックス
2009年に登場したハイサイクルカスタムサブマシンガンシリーズに搭載されたメカボックスです。
それまで15発/秒前後のサイクルだったスタンダード電動ガンの連射性能を、一挙に25発/秒まで引き上げたため、メカボックス自体にもかなり変更が加えられています。
セクターギアの歯の枚数や、軸受けのメタル化、メカボックスフレームの強化などがそれに当たります。
ノーマル電動ガンのメカボックスと区別するために、フレームの色がブラックに仕上げられています。
以上が東京マルイの電動ガンのメカボックスの種類ですが、
この他にもコンパクト電動ガン、電動ガンボーイズ&ライトプロ、電動ハンドガンといったモデルにも専用なメカボックスがあるのですが、今回は除外させていただきます。
※2023年7月追記
このブログを書いた2020年5月以降も、東京マルイの次世代電動ガンのメカボックスは進化を続け、FETとセンサー搭載による電子化が遂げられています。
この新たなメカボックスのシステムは下の記事で詳しく述べているので、興味のある方は合せてご覧ください。
メカボックスのパーツの動きと仕組みとは?
登場し始めた頃のエアガンの発射機構は、どんなジャンルの銃であってもピストンを手動でコッキングするものでした。
この手動コッキングを電気の動力で自動化するために開発されたのが電動ガンのメカボックスです。
原理的にはピストンの下に歯を設けて、ギアの歯で引っ張りコッキングするという単純なものです。
そのギアを回すのがモーターなのですが、モーターの回転数を徐々に落とすのがベベル、スパー、セクターと呼ばれる3つのギアです。
よくギア比が18:1とか書かれているのを見ますが、これはモーターが18回転した時にセクターギアが1回転してピストンをコッキングしますよ!という意味です。
さらにこのセクターギアの回転に連動するのがタペットプレートです。タペットプレートはギアの回転と共に後退してノズルを引き戻します。
その後、セクターギアとタペットプレートの連結が解かれると、タペットプレートはノズルを前進させてマガジンのBB弾をチャンバーに送ります。
これが電動ガンの給弾と発射システムの原理です。
メカボックスの分解・組み立てで得られる楽しみとは
電動ガンのメカボックスの分解、組み立てをマスターして得られるスキルと言えばなんでしょう。
それはなんと言っても自分で電動ガンのメンテナンスやオーバーホールができるようになることです。
このスキルを身に付ければ、気にいって買った電動ガンを自分でメンテナンスしながら長く使えます。
ijirareも20年以上前に買ったMP5RASをだましだまし調整しながら未だに使っています。
ijirareのMP5はこの20年の間に、ギア、軸受け、ノズル、シリンダーなどのパーツを入れ替えてハイサイにしたりノーマルに戻したりながら、現在ではプチ流速仕様になっています。
海外製電動ガンも自分で調整できる
海外製電動ガンは価格の安さと仕上がりの高級感からサバゲーマーたちの間で人気のアイテムになっています。
しかし、この海外製電動ガンはロットごとに品質に差が見られます。当たり個体が買えればいいのですが、ハズレの場合にはギア鳴りなどの症状に悩まされます。
そんな時には購入したショップさんに依頼をすればいいのですが、あえて自分で調整するという楽しみ方もあります。
海外製電動ガンはちょっと内部に手を加えてやれば、素晴らしい性能に化ける場合が多いのです。
そういった楽しみを味わえるのも、メカボックスの分解・整備のスキルを身に付けた人の特権と言えるでしょう。
メカボックスメンテで必要な道具とは
メカボックスの分解・整備に必要な道具は全てホームセンターなどで手にはいります。その一覧をお示しします
1、T10トルクスドライバー
メカボックスにはふつうのプラスネジと共にトルクスネジと呼ばれるネジが使われています。このネジを外すためには、このT10と呼ばれるサイズのトルクスドライバーが不可欠です。
2、プラスドライバー(大、中、小)
3、小型マイナスドライバー
4、プラハンマー
5、ピンセット、小型ラジオペンチ
小さなスプリングを外す時、シムなどの薄いパーツを取る時に重宝します。
6、マグネット式小物入れ
ネジ、バネ、などのパーツをマグネット小物入れに入れておけば、もしひっくり返しても、パーツの散乱を防げます。
この他にも用途によっては六角レンチやハンダコテなど揃えておけば便利です。
エアガンのメカボックスにメンテが必要な理由
先ほどメカボックスの分解・整備の楽しみでも少し触れましたが、電動ガンは使ううちに年数と共に各部が劣化していきます。
外装パーツなら簡単に交換が利きますが、メカボックス内部の場合は目に見えないため、気づかなうちに劣化が進んでどうにもならない場合が多々あるのです。
例を挙げると
1、軸受けの固定が外れてギアの回転が狂う
2、ギアの歯が擦れて異音を出し始める
3、グリスが劣化して回転が重くなる
4、スイッチ焼けが進行している
5、ピストンスプリングのヘタリによる初速低下
この他にも様々な症状が出始めます。
こういった症状が起きて手遅れにならないためにもメカボックスには定期的なメンテナンスが必要です。
メカボックスの分解のコツ
メカボックスの分解法については、テキストで説明するよりも動画等でご覧なった方がイメージしやすいと思います。
実際の分解手順に関しては動画に任せることにして、ここではメカボックス分解時のコツや注意点についてご案内をします。
1、どの箇所にどの長さのネジが使われていたか覚えておく
メカボックスのガワを閉じるために使われているネジは、場所によって長さと種類が違います。どのネジ穴にどのネジが合っているのかをキチンと記憶しておきましょう。
2、篏合部に気をつける
メカボックスはシリンダー上部が噛み合う構造になっています。そのためにネジを外しただけでは外れません。
ガワを外してメカボックスを開くには噛み合わせ部分をずらす必要があります。これを知らずに無理やりメカボックスを開こうとするとフレームが割れるので注意してください。
3、いきなり開くと内部パーツが散乱する
メカボックスはピストンスプリングによるテンションが常にかかっています。
その状態でメカボックスのガワを開ければスプリングのテンションが解放されて、一気に内部パーツを四散させます。
メカボックスを開く時には、シリンダーやスプリングガイドを押さえながらゆっくりと開きましょう。
4、ギア取り出し時にはシムの張り付きに用心を
メカボックスを開くと、グリスの粘着力でギアがくっついてくることがあります。この時にギアの下側に敷いていたシムもギアに張り付いている場合が多いのです。
そのことに気づかないと、後でどのギアの下にどの厚さのシムが置かれていたかが分からなくなって、面倒くさいシム調整をする羽目になるのです。
メカボックスを開いてギアがくっついてた場合には、シムの状態に用心が必要です。
メカボックスのオーバーホール
「オーバーホール」とは古い機械類を分解・整備・修理して、新品に近い性能に戻すことを意味します。
メカボックスのオーバーホールのコツの一つ目は、古いグリスの除去から始まります。
長年使われた電動ガンのメカボックス内部パーツには、使い込まれて黒ずんだシリコングリスがベットリと付着しています。
これらを除去するのにおすすめなのが、パーツクリーナーやブレーキクリーナーと呼ばれるケミカル剤です。
値段も500円ほどなので、これらのケミカル剤を使って効率よく古いグリスを落としましょう。
メカボックスオーバーホールのコツ2
2つ目のポイントはギアの歯やタペットプレートなどの変形、欠損のチェックです。
タペットプレートに変形や反りが見られる場合には、必ず交換してください。そのまま放置しておくと給弾不良の原因になります。
また、ギアの歯がすり減っていたり欠けていると、ギア鳴りの原因になります。この場合も新しいギアに交換しましょう。
メカボックスオーバーホールのコツ3
3番目に気をつけたいのが、スイッチ金具の焼け具合です。電動ガンではトリガーを引くたびにスイッチ端子が接触してスパークが飛び散ります。
そしてそのたびにスイッチの接点が焦げるのです。
そのまま放置すると通電不良により電動ガンが動かなくなります。
対処法としては、スイッチの焦げた部分をペーパーでこすって焦げを取り除き、その後に接点復活グリスを塗布しておきましょう。
メカボックスオーバーホールのコツ4
電動ガンは長年使っていくとスプリングがヘタって初速が低下します。最近少し初速が落ちたかな?と感じる人は思い切ってスプリングを交換してください。
メカボックスオーバーホールのコツ5
メカボックスのフレームは常にピストン前進時の衝撃を受けています。その応力が一番集中するのはシリンダー前端の上と下の部分です。
この応力によるダメージが蓄積されるとメカボックスのフレームは割れるのです。
そういった事態に合わないようにオーバーオール時には、
パーツばかりでなくメカボックスのフレームにもクラック(亀裂、ひび割れ)等が発生していないかチェックを心がけてください。
メカボックスのカスタムとは?
メカボックスのカスタムにはいろいろなタイプがありますが、代表的なのは「ハイサイクルカスタム」「飛距離アップカスタム」「トリガーレスポンスカスタム」でしょう。
ハイサイクルカスタムとは
ハイサイクルカスタムとはノーマルの電動ガンよりもサイクル数を上げるカスタムを意味します。やり方はいろいろとありますが、簡単な順から述べると
難易度:低
ギア比の低いハイサイクルタイプのギアに替える+モーターをハイスピードモーターに替える(秒間17~20発)
難易度:中
ハイボルテージバッテリー仕様にするため、高効率配線に入れ替える+ピストンクラッシュ防止にピストンとセクターギアの歯をカットする+スプリングをレートの高いものに交換する(秒間20~25発)
難易度:高
高剛性メカボックスフレームに交換+ベアリング軸受け+11.1vリポバッテリー+デュアルセクターギア搭載+メカボックスフレームのローフリクション化
(秒間30発~?)
ハイサイクルカスタムについては当ブログの「ハイサイクルカスタムがサバゲー初心者の戦いを有利にする5つの理由 」で説明していますので、
詳しく知りたい方はそちらをご覧になって下さい。
ロングレンジカスタムとは?
ロングレンジカスタムとは0.989Jという威力規制内でBB弾の飛距離を伸ばすカスタムです。
威力規制によって銃口初速の上限が決められている現在では、飛距離を伸ばすためにBB弾の残存エネルギーをできるだけ保つ必要があります。
そのため、失速しやすい軽量弾よりも、勢いが残りやすい重量弾が向いています。
しかし、重量弾をノーマルのホップ形式で撃つとホップ回転がかかりにくくて、満足な浮力が得られません。そこで重量弾+長掛ホップという仕様が重要になってくるのです。
この方法を突き詰めれば「流速チューン」になります。
ロングレンジカスタムについては当ブログの「飛距離アップ=流速チューン?ロングレンジカスタムがわかる3つのポイント」で詳しく解説しているので、
興味のある方はそちらをご覧ください。
トリガーレスポンスカスタムとは
トリガーレスポンスカスタムとはセミオートのキレを極限まで追求したカスタムです。
このカスタムが実用性を持った背景には、海外製電動ガンの電子トリガーシステムの普及によるものです。
また、FCU(ファイアー・コントロール・ユニット)と呼ばれる電子制御トリガーが認知されたことも大きな要因です。
電動ガンのトリガースイッチを従来の接触式スイッチトリガーから電子制御によるトリガーシステムに替えることで、
今まででは考えられないほどのセミオーツのキレの良さを端子ませてくれます。
トリガーレスポンスカスタムについては、
当ブログの「トリガーレスポンスカスタムが簡単に理解できる5つのメリットとは?」で詳しく述べていますので興味のある方はそちらをご覧ください。
メカボックス組み立てのコツとは
メカボックス組み立ての手順はテキストで説明するよりも動画を参考にされた方が分かりやすいでしょう。
ただ、実際に組み込んでみないとわからないコツがあるのでそのポイントをご説明します。
1、軸受け
軸受けを交換した時には必ず水平に圧入するのが鉄則です。もし、軸受けを斜めに圧入すればギアが斜めに回転します。
その結果、良くてギア鳴り、悪ければ軸受け穴を広げてメカボックスのフレームをダメにします。
2、シム調整
メカボックス組み立てが成功するのも失敗するのもこのシム調整にかかっています。
メカボックス内のギアの接触面に余裕がありすぎると回転時にギアが踊ってギアの歯の破損に繋がります。
逆に必要以上にギア同士を密着させると回転に抵抗がかかり、最悪の場合にはモーターが焼き付きます。
これを防ぐためにギアの上と下にシムと呼ばれる薄い金属板を挟み込んで、ギアの接触面のクリアランスを調整する必要があるのです。
これがシム調整です。シム調整時には、指でギアを回した時に抵抗なく滑らかに回転するように調整してください。
3、パーツのハズレ
メカボックス内のパーツを全て組み込んでフレームを閉じる時に、慣れていないと逆転防止ラッチやトリガーが挿入穴からハズレます。
そういう時はコレ!
ハズレやすい逆転防止ラッチやトリガーをシッカリと固定してくれます。
4、シリンダー内のグリス塗布
メカボックスにグリスを塗るというとギアが思い浮かびますが、ピストンの動きを良くするためにシリンダー内にもグリスを塗布します。
ここでシリンダー内にグリスを塗布しすぎると、余ったグリスはエア圧によってチャンバー内にまで飛んでしまいます。
そうなるとホップパッキンにグリスが付いて正しいホップがかからなくなります。シリンダー内にはごく少量のグリスを薄く塗り広げましょう。
5、配線の取り回し
メカボックス内にはモーターに電気を送るための配線があります。
組み込む時にこの配線の取り回しが甘いと、フレームに噛み込んだり、モーターのピニオンギアに接触して被膜が破れるのです。
このような事態にならないように配線の取り回しには気をつけましょう。
メカボックスが元に戻せなくなった時は?
メカボックスを自分で分解してもし元に戻せなくなった場合に、アナタならどうしますか。
考えうる対処法は4ツあります。
1、ジャンクとして売って、新しい電動ガンを買う
2、ショップに依頼して組み直してもらう
(電動ガンを分解した時点で東京マルイのアフターサービスは受けられません)
3、知り合いのメカボックス組み立てに慣れた人にお願いする
4、「これも修行のうち!」と思い、あくまでの自分でチャレンジする
メカボックスの組み立て方は、動画やブログ内の画像などが世に溢れています。
その気になれば組み立てられないということはありません。
もしアナタがこれから先電動ガンと長く付き合うつもりなら、一度や二度の失敗などに挫けずチャレンジしてみましょう。
海外製メカボックスの現状
東京マルイが電動ガンを世に出して以来、海外のメーカーは東京マルイのメカボックスに追いつき追い越せとばかりに様々なメカボックスを世に出してきました。
そこで今日の海外製メーカーのメカボックスの状況をご説明します。
1、MOS-FET+電子トリガー
日本製メカボックスと海外製メカボックスの違いで一番分かりやすいのが、スイッチの電子制御化です。
G&G、KRYTAC、ICS、ARES、KWAといった台湾製メカボックスには、MOS-FETと電子トリガーが標準装備になりつつあります。
このMOS-FET+電子トリガーの一番のメリットは、スイッチの焼き付きがないことでしょう。
2番目のメリットは電子的にバーストショットが設定できることです。
3番目のメリットはセミオートのキレの良さが劇的に改善されることです。
対してデメリットは電子回路が傷つくとユニットごと取り換えねばならないことです。
また、最近のMOS-FETには電圧低下検知システムが搭載されているので、少しのバッテリーの電圧低下でも作動が停止するのです。
海外製のメカボックスを選ぶ場合には、これらのメリット、デメリットを知っておいた方がいいでしょう。
イージースプリングガイドシステム
昨今の海外製メカボックスは、メカボックスを開かなくても簡単にピストンスプリングを交換できるようになっています。
自分の好みのスプリングレートを組み込めるのはいいのですが、日本においては銃刀法に抵触しやすいシステムとも言えるでしょう。
上下二分割式メカボックス
ICSが採用しているのが上下二分割方式のメカボックスです。
M4クローン系電動ガンでは、テイクダウンピンを引き抜くと実銃のM4のようにアッパーレシーバーが持ち上げられて、ピストン部とギア部に分かれます。
この方式だとグリスアップやスプリング交換などのメンテナンスも大いに向上します。
システマのトレポンでしかお目にかかれなかったシステムを、普及価格帯にまで引き下げたICSは「えら~い」と言えるでしょう。
ベアリング軸受け
東京マルイの軸受けが樹脂製であるのに対して、海外製のメカボックスではベアリング軸受けが一般的です。
ベアリング軸受けのメリットは、フリクションが低減されてギアの回転が上がりやすいことです。
東京マルイの軸受けが6㎜なのに対して、海外製メカボックスでは8㎜ベアリングが主流です。中には9㎜ベアリング軸受けを搭載するモデルの出始めています。
樹脂製軸受け、ベアリング軸受けの双方にはメリット、デメリットがあるのですが、サイクル数を重視するユーザーにはベアリング軸受けが向いているでしょう。
メカボックスフレームの耐久性
東京マルイの純正メカボックスは素材が亜鉛合金ですが、海外製エアガンメーカーのメカボックスはより耐久性の高いマグネシウム合金を素材にしているものが多数見られます。
また、パーツメーカーからはステンレスやアルミ、ジュラルミンなどを素材にしてCNC加工で造られたメカボックスもあります。
ダイキャスト(鋳物製)で安価なメカボックスだけでなく、いろいろな選択肢がメカボックスに与えられているのも嬉しいことです。
ガンスミス向けハイエンドメカボックス
電動ガンのメカボックスを自分で調整できるようになると、今度は分解しやすいメカボックスに興味を持つようになります。
そういった方向けに簡単に分解でき、なおかつ精度の高いハイエンドユーザー向けのメカボックスをご紹介します。
1、EGハードギアフレーム Ver.2メカボックス互換 6mm軸受け用 (専用スプリングガイド付き)
ライラクスから発売されるカスタムメカボックスです。
このメカボックスの特徴は、サイドがギア部とシリンダー部に分割できるので、グリスアップなどのメンテ性が格段に向上させてところです。
タペットプレートやギアのハズレを気にせずにメンテできるのが、どれだけ便利なのかは、メカボックスのメンテナンスをした方ならわかっていただけるはずです。
もちろん、簡単にスプリングを交換できる「イージースプリングガイドシステム」も採用されています。
ただ軸受けが6㎜仕様なので、激しいハイサイクル仕様には向かないでしょう。
2、ジェーアーマメント J-ARMAMENT V3ハイレスポンスメカボックス Front
香港製のVer3強化メカボックスフレームです。
ノーマルのAKシリーズにご使用になれます。
8㎜ベアリング仕様、マイクロスイッチ付属、イージースプリングガイドシステム採用と、
昨今のメカボックスのトレンドをシッカリと押さえています。これにFCUを加えると、AKの戦闘力が飛躍的に向上します。
メカボックスのまとめ
今回は電動ガンのメカボックスについてご案内をしました。正直に言ってサバゲーを楽しむだけならメカボックスのことは知らなくても十分に遊べます。
ただ、そのサバゲーを楽しむ人の中の何割かは、電動ガンの仕組みやメカボックスの役目に興味を持つ人もいるでしょう。
今回のブログは、そういったマニアックな探求心をもったユーザーに向けて書いたものです。
ここに書いてあることはかなりディープな内容ですので、本文を理解できなくてもサバゲーが楽しめないわけではないことをご承知ください。